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軽貨物の「事故の記録」3年保存を守る運用|2025年4月義務化、業務記録(1年)・30日報告との違い

2025年(令和7年)4月1日から、黒ナンバー(貨物軽自動車運送事業)にも「事故の記録」の作成と営業所での3年間の保存が義務化された。何を・どの様式で書き、業務記録(1年)や30日以内の事故報告とどう違うのか、紛失しない運用まで一次資料で整理する。

軽貨物ナレッジ編集部公開 2026年7月8日時点の情報
目次
  1. なぜ2025年4月から「事故の記録」の保存が義務になったのか
  2. 「事故の記録」に何を、どの様式で書くのか
  3. 3年・1年——保存年数と保存場所を取り違えない
  4. 「記録」と「報告(30日)」「速報(24時間)」は別物——怠ると行政処分
  5. 結局どうすればいいか

2025年(令和7年)4月1日から、黒ナンバー(貨物軽自動車運送事業)の安全対策が強化され、事故が起きたときにその概要・原因・再発防止策などを書き残す「事故の記録」の作成と、営業所での3年間の保存が新たに義務になった。結論から言えば、やるべきことは3つに整理できる。(1)事故が起きたら国土交通省の参考様式にそって「事故の記録」を作る、(2)それを営業所で3年間、消さずに保管する、(3)一定以上の事故は記録とは別に30日以内の報告(重大なものは24時間以内の速報)も行う——の3点だ。この記事は2026-07-08時点の一次情報をもとに、何を・いつ・どこに・何年・どう残すかを順番に整理する。

なぜ2025年4月から「事故の記録」の保存が義務になったのか

背景にあるのは、ネット通販(EC)市場の拡大で軽自動車を使った宅配の需要が急増し、それにともなって軽貨物の事故が増えてきたことだ。これを受けて国土交通省は、貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)の安全対策を強化する制度改正を行い、2025年(令和7年)4月1日から施行した。改正の柱は大きく3つある。1つ目が、事故時の「事故の記録」を作成し営業所で3年間保存すること。2つ目が、毎日の業務開始・終了の地点や従事した距離などを記録する「業務記録」を作成し1年間保存すること。3つ目が、営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任し、講習を受けさせることだ。

貨物軽自動車安全管理者を選任したときは、運輸支局等を通じて国土交通大臣へ届け出る必要がある。ただし、この安全管理者の選任には施行後2年、特定の運転者に対する指導・適性診断には施行後3年といった経過措置が置かれており、段階的に整えていく形になっている。一方で、この記事の主題である「事故の記録」の作成・保存は、事故が起きればすぐに関わってくる義務なので、様式と保管の仕組みは早めに用意しておきたい。

「事故の記録」に何を、どの様式で書くのか

国土交通省は「事故の記録」の参考様式を公表している。ゼロから書式を考える必要はなく、この様式をひな形として使えばよい。記録する主な項目は、乗務員等の氏名、車両番号、事故の発生日時、発生場所、相手方(当事者)の氏名、事故の概要(損害の程度を含む)、事故の要因、そして再発防止策だ。「いつ・どこで・誰が・誰と・何が起き・なぜ起き・次にどう防ぐか」を一枚で押さえる構成になっている。事故の種類や道路などの状況、損害の程度といった細目は、別紙にまとめて記録することもできる。とくに「事故の要因」と「再発防止策」は、単なる報告の控えではなく再発を防ぐための記録という趣旨に直結する部分なので、他人事の一般論ではなく、その事故で実際に何が引き金になったかを具体的に書き残すことが大切だ。

3年・1年——保存年数と保存場所を取り違えない

つまずきやすいのが、記録の種類ごとに保存年数が違う点だ。今回の改正で、「事故の記録」は3年、「業務記録」は1年の保存が求められる。名前も内容も似ているうえに年数が異なるため、混同すると「1年で捨ててよいと思って事故の記録まで処分してしまった」といった取り違えが起きやすい。事故の記録は3年、と数字ごと覚えておくのが安全だ。

保存する場所にも注意がいる。これらの記録は営業所で保存するのが原則だ。黒ナンバーの個人事業主の場合、自宅が営業所を兼ねているケースが多く、書類が私物と混ざって散逸したり、引っ越し・車両入れ替えのタイミングで紛れてしまいやすい。3年という長さも相まって、「作ったが後で見つからない」が最も起きやすい失敗になる。事故の記録専用のファイル(紙なら年ごとのバインダー、データなら年別フォルダ)を最初に1つ決めておき、そこにだけ入れる運用にしておくと紛失を防ぎやすい。

「記録」と「報告(30日)」「速報(24時間)」は別物——怠ると行政処分

見落としやすいのが、社内に残す「事故の記録」と、国へ出す「事故報告」はまったく別の義務だという点だ。一定規模以上の事故(死傷者が生じた事故など)については、自動車事故報告規則にもとづき、原則として事故から30日以内に、所定の様式の事故報告書を運輸支局等を通じて国土交通大臣へ提出しなければならない。ここで大事なのは、社内用の「事故の記録」を作っただけでは、この30日以内の報告義務は満たされないということだ。記録は記録、報告は報告として、両方を別々に行う必要がある。

さらに重大な事故——たとえば2人以上の死者、5人以上の重傷者、10人以上の負傷者が出た事故や、酒気帯び運転をともなう事故など——では、30日以内の報告とは別に、電話などで24時間以内に速報することも求められる。そして、これら事故の記録・業務記録・安全管理者の選任といった安全対策を怠った場合には、罰則や行政処分が設けられている。行政処分の具体的な基準は整備が進められている段階なので(2026-07-08時点)、細かな処分内容をここで断定はしないが、「記録を作っていない・保存していない」状態は、事故対応の場面で確実に不利に働くと考えておくべきだ。

結局どうすればいいか

やることを整理する。まず、事故が起きたら国土交通省の参考様式にそって「事故の記録」を作る。書く項目は、乗務員等の氏名・車両番号・発生日時・発生場所・相手方の氏名・事故の概要(損害の程度を含む)・事故の要因・再発防止策で、細目は別紙に回してよい。作った記録は営業所(自宅兼用ならその中の専用ファイル)で3年間、消さずに保管する。似た名前の業務記録は保存が1年なので、年数を取り違えて事故の記録まで捨てないよう分けて管理する。そして、死傷者が出るような一定以上の事故は、記録とは別に30日以内の報告、重大な事故は24時間以内の速報も必要だと覚えておく。これらを怠ると罰則・行政処分の対象になりうる(2026-07-08時点、行政処分基準は整備中)。制度の細部や様式は変わることがあるため、実際の様式や自分のケースの当てはめは、国土交通省の最新情報や運輸支局の案内で確認してほしい。

出典・参考

官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。

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