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ドライバーの稼働とシフトの管理|案件量への割り振りで押さえる3つの制度(記録・契約・過労防止)

軽貨物(黒ナンバー)で委託ドライバーの稼働・シフトを組むときは、2025年4月の安全対策強化(業務記録1年・事故記録3年)、2024年11月のフリーランス新法(取引条件明示・60日以内払い・30日前予告)、2024年4月の改善基準告示(拘束・休息・連続運転の目安)が土台になります。3つの役割と、委託ドライバーへの適用の線引きを整理します。

軽貨物ナレッジ編集部公開 2026年7月8日時点の情報
目次
  1. 稼働・シフト管理を左右する3つの制度枠組み
  2. 過労運転を防ぐシフト設計の目安 — 改善基準告示をどう使うか
  3. 稼働を「記録として残す」義務 — 2025年4月からの業務記録・事故記録
  4. 案件量に応じて稼働を増減するときの契約ルール — フリーランス新法
  5. 結局どうすればいいか

軽貨物(黒ナンバー)で、ドライバーの稼働(どれだけ働いてもらうか)とシフト(いつ・誰に案件を割り振るか)を管理するとき、その土台になる制度が2024〜2025年に大きく変わりました。結論を先に言うと、押さえるべき枠組みは3つです。(1)2025年4月に始まった安全対策の強化で、毎日の業務の記録を1年、事故の記録を3年残す義務ができました。(2)2024年11月施行のフリーランス新法で、委託ドライバーへの取引条件の明示・報酬の60日以内払い・継続案件を減らす/切るときの30日前予告が義務づけられました。(3)2024年4月に適用が始まった改善基準告示は、1日の拘束時間や休息時間の目安を定めています。ただし改善基準告示は「雇われている運転者」向けの基準で、個人事業主として業務委託を受けている軽貨物ドライバーには直接は適用されません——この線引きが、シフト設計で最も間違えやすい点です。以下は2026-07-08時点の情報をもとに整理します。

稼働・シフト管理を左右する3つの制度枠組み

まず、3つの制度は狙いが違うことを押さえます。2025年4月の安全対策強化は「働かせ方の記録と過労の防止」、2024年11月のフリーランス新法は「委託契約の適正化」、2024年4月の改善基準告示は「長時間労働を抑えるための目安」です。案件量にドライバーを割り振るときは、この3つ——記録・契約・過労防止——をセットで前提に置きます。

稼働管理の強化が進む背景には、事故の増加があります。国土交通省によれば、保有台数1万台当たりでみた事業用軽自動車の死亡・重傷事故の件数は、平成28年(2016年)から令和4年(2022年)にかけて約5割増えました。これは「台数が増えたぶんだけ事故が増えた」のではなく、走っている密度あたりの重大事故が増えているという意味の数字です。だからこそ、稼働の割り振りを「その日にさばける案件量」だけで決めず、過労と記録を組み込んだ設計にすることが求められています。

過労運転を防ぐシフト設計の目安 — 改善基準告示をどう使うか

改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)は、2024年4月1日に改正が適用されました。トラック運転者について、1日の拘束時間は原則13時間・最大15時間(長距離運送の特例では最大16時間)とされています。勤務が終わってから次に働き始めるまでの休息期間は、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないこととされています。連続運転時間は4時間を超えないこと、1か月の拘束時間は原則284時間(労使協定を結べば年6か月まで最大310時間)とされています(2026-07-08時点)。これらは「1日にどこまで走ってもらうか」「休みをどれだけ空けるか」を決めるときの、具体的なものさしになります。

ここで最も大切な注意点があります。改善基準告示は、労働基準法上の「自動車運転者(雇われている運転者)」を対象にした基準で、告示の本文は個人事業主を対象に含めるとは明示していません。軽貨物ドライバーの多くは個人事業主(業務委託)であるため、委託ドライバーに割り振る稼働に、この数値がそのまま法的義務として掛かるわけではありません。この「直接適用の有無」を切り分けて考えることが、シフト設計の出発点になります。とはいえ、過労運転は事故に直結します。事業者が委託ドライバーの稼働を組むときは、告示の数値を「法律上の義務」ではなく「安全管理上の望ましい目安」として使うのが正確です。1日の拘束が15時間を超えるような割り振りや、休息が9時間を切る連日の連続稼働は、たとえ委託であっても避ける設計にするのが安全です。

稼働を「記録として残す」義務 — 2025年4月からの業務記録・事故記録

2025年4月からは、貨物軽自動車運送事業者(バイク便事業者を除く)に対して、稼働を記録として残す義務が加わりました。まず、営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任し、運輸支局等を通じて国土交通大臣へ届け出ます。そのうえで、毎日の業務の開始・終了の地点や、業務に従事した距離などの記録を作り、1年間保存します。事故が起きた場合は、概要・原因・再発防止対策などの記録を作り、3年間保存します。保存期間は業務記録が1年、事故記録が3年と長さが違うので、取り違えないように分けて管理します。さらに、初めて運転する人(初任運転者)・65歳以上の高齢の運転者・死傷者を出す事故を起こした運転者(特定の運転者)に対しては、特別な指導・監督と適性診断が求められます。

なお安全管理者の選任には経過措置があり、2025年3月末までに経営届出をしていた既存の事業者は施行から2年(2027年3月)まで、2025年4月以降に新たに経営届出をする場合は届出後すみやかに選任が必要です。稼働の割り振りは、こうした「誰が・いつ・どこからどこまで・何km走ったか」を後から示せる記録づくりとセットで回すのが前提になります。逆に言えば、記録の様式や保存の置き場所をあらかじめ決めておかないと、日々の稼働管理と記録づくりが二度手間になりやすい点に注意します(2026-07-08時点)。

案件量に応じて稼働を増減するときの契約ルール — フリーランス新法

委託ドライバーの稼働は、案件量に応じて増やしたり減らしたりします。このとき効いてくるのが、2024年11月1日に施行されたフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)です。まず、個人事業主(特定受託事業者)に業務を委託するときは、業務内容・報酬額・支払期日などの取引条件を、書面または電子メール等の電磁的方法で明示することが義務づけられています。口約束だけで稼働を増やすのではなく、条件を残す形が前提になります。報酬は、納品(役務の提供)を受けた日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その期日までに支払わなければなりません。そして、6か月以上続く継続的な委託を途中で打ち切る場合や、更新しない場合は、原則として30日前までに予告することが義務づけられています(災害などやむを得ない事由や、委託期間が30日以下の場合などの例外があります)。つまり、閑散期に委託ドライバーの稼働を大きく減らしたり契約を終えたりする場面では、思い立ってすぐ止めるのではなく、60日以内の支払いと30日前の予告を前提に段取りする必要があります(2026-07-08時点)。

結局どうすればいいか

稼働とシフトの管理は、3つの制度を土台に組み立てます。第一に、過労運転を防ぐシフト設計です。改善基準告示の目安(1日の拘束は原則13時間・最大15時間、休息は継続11時間の努力・9時間下限、連続運転は4時間まで)を、委託ドライバーには法的義務ではなく安全管理上のものさしとして使い、無理な連日稼働を避けます。第二に、稼働を記録として残すことです。2025年4月からは、業務の開始・終了地点や距離の記録を1年、事故の記録を3年保存する義務があり、営業所ごとに安全管理者を選任・届出します(既存事業者は2027年3月までの経過措置あり)。特定の運転者には指導・監督と適性診断が要ります。第三に、案件量に応じて稼働を増減するときの契約ルールです。委託時は取引条件を書面等で明示し、報酬は60日以内に支払い、6か月以上の継続委託を切る/更新しないときは原則30日前に予告します。改善基準告示の数値や支払・予告の期間などは制度改正で変わりうるため、最終的には国土交通省・厚生労働省・内閣官房などの最新の一次情報で確認してください(2026-07-08時点)。

出典・参考

官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。

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