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軽貨物の報酬「60日以内支払い」ルールの実務|起算日・締め日・是正の求め方

軽貨物を業務委託で請け負う個人ドライバーは、配達を終えた日から60日以内に報酬を支払われる権利がある。フリーランス新法と2026年1月施行の取適法をもとに、60日の数え方・締め支払との関係・遅延利息・是正の求め方を整理する。

軽貨物ナレッジ編集部公開 2026年7月8日時点の情報
目次
  1. 60日以内の支払いは「発注者の義務」(対象は誰か)
  2. 60日は「配達を終えた日」から数える(起算日と締め支払)
  3. 2026年1月からの取適法と、遅延利息14.6%
  4. 支払いが遅れたときの是正の求め方
  5. 結局どうすればいいか

軽貨物の配送を業務委託で請け負う個人ドライバーや、従業員のいない一人法人は、原則として「配達を終えた日から60日以内」に報酬を支払われる権利があります。月末締め・翌月末払いといった支払いサイトも、この60日の枠の中に収まっていなければなりません。この記事では、2024年11月1日に施行されたフリーランス新法(正式名称「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)と、2026年1月1日に施行された取適法(中小受託取引適正化法/旧・下請法)をもとに、60日ルールの数え方・締め支払との関係・遅延したときの是正の求め方を、軽貨物の実務に即して整理します(2026-07-08時点)。

先に要点です。①報酬の支払期日は、配達(役務の提供)を受けた日から起算して60日以内の、できる限り短い期間で定めなければならない、②「いつから60日か」の起算日は配達を終えた日で、検収に手間取ったことを口実に後ろ倒しにはできない、③支払期日を決めていない場合は受領日が、60日を超えて決めた場合は受領日から60日を過ぎた日が、法律上の支払期日とみなされる、④2026年1月からの取適法が当てはまる取引では、受領日から60日を過ぎた分に年14.6%の遅延利息が発生する、⑤遅れに気づいたら、まず発注者に書面(メール可)で支払期日と根拠を照会し、応じなければ公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口へ申し出る——この流れを押さえておきましょう。

60日以内の支払いは「発注者の義務」(対象は誰か)

フリーランス新法は、業務委託の受け手であるフリーランスを「特定受託事業者」と呼びます。具体的には、従業員を使わずに個人で働く人、または代表者一人だけで他に役員がなく従業員も使わない一人法人です。従業員を雇わずに黒ナンバーで配送を請け負う個人ドライバーは、この特定受託事業者にあたります。一方、フリーランスに業務を委託する側のうち、従業員を使っている個人や、二人以上の役員がいる・従業員を使っている法人は「特定業務委託事業者」と呼ばれ、報酬の支払いについて重い義務を負います。特定業務委託事業者は、配達などの成果(給付)を受け取った日から起算して60日以内の、できる限り短い期間で報酬の支払期日を定め、その日までに報酬を支払わなければなりません。「60日以内ならいつでもよい」のではなく、あくまで『できる限り短い期間』で定めることが求められている点も押さえておきましょう。軽貨物の元請や運送会社は従業員を抱えていることが多く、この60日ルールがかかる場面がほとんどです。

60日は「配達を終えた日」から数える(起算日と締め支払)

60日を数え始める起算日は、配送のような役務の提供を委託する取引では「発注者が個々の役務の提供を受けた日」、役務の提供に日数を要する場合は「一連の役務の提供が終了した日」です(受領した日そのものを1日目として数えに入れます)。ここで大切なのは、発注者の側で検収や確認に時間がかかったことを理由に、この起算日を後ろ倒しにはできないことです。仮にやり直しをさせる場合でも、やり直した後の役務を提供した日が起算日になります。つまり、実際に配達を終えた日が動かない基準点であり、そこから60日を数えます。

月末締め・翌月末払いのような「締め支払」を採用している場合でも、個々の配達を終えた日から数えて60日以内に支払われている必要があります。締め日と支払日の組み合わせによっては60日を超えてしまうことがあるため、締めの区切りではなく「配達した日から何日で入金されるか」で確認してください。なお、支払期日をそもそも定めていなかったときは配達を受領した日が支払期日とみなされ、60日を超える期日を定めていたときは受領した日から60日を経過した日が支払期日とみなされます。加えて、ドライバー側に責任がないのに、あとから決めた報酬額を減らして支払うことは、名目や方法にかかわらず「報酬の減額」として禁止されています。なお、元請からの再委託の場合は、再委託である旨・元の委託者の名称・元の委託の対価の支払期日などをドライバーに明示したときに限り、元委託者からの支払期日から30日以内のできる限り短い期間で支払期日を定めることが認められます。

2026年1月からの取適法と、遅延利息14.6%

2026年1月1日には、旧・下請法(下請代金支払遅延等防止法)が「取適法(中小受託取引適正化法)」へと改正・施行されました。この改正で、規制の対象となる取引に「製造等の目的物の引渡しに必要な運送の委託」が明文で加えられ、これまでの資本金の基準に加えて、従業員の基準(300人・100人)が追加されました。あわせて、受領日から60日以内に支払期日を定める義務、手形払いの禁止、一方的な代金の決定の禁止などが定められています。フリーランス新法との実務的な違いは、遅延利息です。取適法(下請法)のルートでは、受領日から60日を経過した日から実際に支払う日までの期間について、未払いの金額に年率14.6%を掛けた遅延利息を支払わなければならないと定められています。一方、フリーランス新法には、この14.6%のような遅延利息を定めた規定は置かれておらず、行政による是正(指導・助言→勧告→命令)が中心になります。自分の取引にどちらが当てはまるかは、発注者の規模(資本金や従業員数の基準に当たるか)と、自分が従業員を使わないフリーランスかどうかで決まります。規模の大きな発注者なら取適法が、そうでなくても従業員を使う発注者ならフリーランス新法が、支払いの遅れをチェックする根拠になります(2026-07-08時点)。

支払いが遅れたときの是正の求め方

支払期日を過ぎても入金がない、あるいは契約や発注条件が60日を超えている、支払期日が書かれていない——こうした場合は、次の順で動きます。まず、契約書や発注時の条件通知を見て、締め日と支払サイト(配達日から何日で支払われる約束か)を確認します。そのうえで、発注者に書面(メールで構いません)で、支払期日とその根拠を照会し、60日以内での支払いを求めます。発注者がこれに応じない場合は、フリーランス新法・取適法の相談や申告の先である公正取引委員会や中小企業庁の窓口へ申し出ることができます。行政は調査のうえ、指導・助言、勧告、勧告に従わない場合の命令・事業者名の公表と、段階的に是正を進めます。命令に違反したり、報告を拒んだり虚偽の報告をしたり、検査を拒んだ・妨げた場合には、50万円以下の罰金が科されることがあります。やり取りの記録・契約書・配達を終えた日が分かる資料を手元にそろえておくと、事実を根拠に落ち着いて主張できます。

結局どうすればいいか

軽貨物ドライバーが自分の報酬を守るためにやることは、次のとおりです。第一に、契約書や発注条件で「締め日」と「支払サイト」を確認し、配達を終えた日から60日以内に入金される内容になっているかを日付で確かめる。第二に、起算日は配達を終えた日であり、検収の遅れや締め支払を理由に60日を超えることは原則認められない、と覚えておく。第三に、支払期日が書かれていない・60日を超えている・あとから報酬を減らされたといった場合は、まず発注者に書面(メール可)で支払期日と根拠を照会して是正を求め、応じなければ公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口へ申し出る。自分の取引が規模の大きな発注者との取引で取適法に当てはまるなら、受領日から60日を過ぎた分に年14.6%の遅延利息が発生することも根拠にできます(2026-07-08時点)。口約束や感覚ではなく、契約書・支払期日・配達日という事実を土台にすれば、泣き寝入りせずに支払いを求められます。

出典・参考

官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。

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