再配達を減らすための工夫|「知らせる」と「預ける」で不在戻りを最小化する
宅配便の再配達率は約8.3%まで下がったが、いまも配達のおよそ1割が一度で届いていない。事前通知と置き配・宅配ボックスの活用で不在戻りを減らす実践策を、国の一次データと進行中の制度改正に沿って整理する。
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再配達は、ドライバーにとって「同じ家にもう一度行く」だけのムダな稼働そのものだ。まず結論から言うと、再配達を減らす鍵は二つ。荷物を届ける前に受取人へ「知らせる」ことと、対面にこだわらず置き配や宅配ボックスへ「預ける」ことだ。国の最新データでは再配達率は下がってきたが、それでも配達のおよそ1割が一度で届いていない。この記事では、軽貨物ドライバー・事業者が現場でできる工夫を、国土交通省の一次データと進行中の制度改正に沿って整理する。数値は2026-07-08時点のものを用いる。
再配達はいま「約8.3%」まで下がってきた
国土交通省のサンプル調査によると、2026-07-08時点で公表されている最新の令和7年10月(2025年10月)の宅配便の再配達率は約8.3%で、前年同月比で約0.7ポイント下がった。大手事業者6社ベースで、この月の総配送数は約341万個、そのうち再配達は約28万個だった。同じ6社ベースの直近では、令和7年4月が約8.4%、令和7年10月が約8.3%と、ゆるやかな改善が続いている。この調査は毎年4月と10月の年2回、サンプル調査として実施される。ただし国土交通省は「総合物流施策大綱」で、2025年度の再配達率を7.5%程度まで下げる目標を掲げており、約8.3%はその目標にあと一歩届いていない。
再配達の1割は「年間6万人分の労働」を奪う
再配達は社会全体のムダであると同時に、ドライバー自身の稼働を削る問題でもある。国土交通省は、宅配便個数のおよそ1割にあたる再配達を運ぶために、年間で約6万人のドライバーの労働力が費やされていると試算している。人手が足りない業界で、この分をなくせれば本来の配達や休息に回せる。環境面の負担も大きく、再配達のトラックから出るCO2は年間およそ25.4万トン(令和2年度の国土交通省試算)にのぼる。再配達を減らすことは、遠回りに見えて自分の労働環境と業界全体の効率を守る取り組みだと言える。
不在戻りを減らす具体策:まず「知らせる」、次に「預ける」
国土交通省の2022年の調査では、再配達になった理由のうち約2割が「配達されることを知らなかった」だった。つまり、発送通知や配達通知が受取人に届き、確認されているだけで防げる再配達がかなりある。事業者・ドライバー側でできるのは、各社が用意する発送・配達通知やアプリ・メールなどのコミュニケーションツールを確実に動かし、受取人が受け取り日時や置き配指示を事前に設定できる状態にしておくことだ。国土交通省も削減策として、ゆとりを持った時間帯指定や、事業者のコミュニケーションツール(メール・アプリ等)の活用を挙げている。時間帯指定のある荷物は、その枠に合わせてルートを組むだけでも一度で届く確率が上がる。
もう一つの柱が、対面以外の受け取り方だ。国土交通省が示す方法には、玄関先などへの置き配、駅などに設置された宅配ロッカー、コンビニ受取、マンションのオートロックを解錠するデバイスの活用などがある。受取人が置き配や宅配ボックスを指定していれば、不在でも一度で完了できる。ドライバー側の工夫としては、配達前に置き配指示の有無を必ず確認し、指定がある荷物は対面を待たずに指示どおり預けること、宅配ボックスやロッカーが使える現場ではそれを優先することが、不在戻りを最小化する近道になる。
「置き配」は標準の受け取り方になりつつある
置き配は、制度の面でも「例外」から「標準」へ移りつつある。国土交通省の「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」(座長・矢野裕児 流通経済大学教授)は、2025年11月7日に提言を公表し、標準宅配便運送約款を改正して、これまでの対面での引き渡しに加え、「置き配」「宅配ボックス」「コンビニ受け取り」を標準的な受け渡し方法に追加する方針を示した。ただし、改正の施行時期については報道で見解が分かれており、「年明け1月にも改正したい」とする報道がある一方、「施行は2026年度以降になる見通し」とする報道もある。2026-07-08時点で確定した施行日は確認できていないため、最新の各社案内や国土交通省の発表で確かめてほしい。
標準化が進む一方で、置き配ならではの注意点も理解しておきたい。置き配は、玄関先などに置いた時点で配達完了とみなされるのが一般的で、その後の盗難や紛失は配送業者の責任範囲外となるケースが多い。補償の扱いはサービスによって異なり、2026-07-08時点で、ヤマト運輸のEAZYの置き配は責任限度額15万円までとされ、通常の宅急便の置き配は個別相談での対応とされている(条件は変わりうるため、各社の最新規定を確認してほしい)。トラブルを避けるには、配達完了時の写真記録と配達完了通知を必ず残すこと、施錠できる宅配ボックスを使うこと、受取人には荷物を早めに回収してもらうこと、防犯カメラやセンサーライトのある場所を選ぶことが有効とされる。ドライバーとして写真と通知の記録を徹底しておくと、「置いた・置いていない」の水掛け論を避ける自衛にもなる。
結局どうすればいいか
再配達を減らす工夫は、突き詰めると「一度で受け取ってもらえる状態を作る」ことに尽きる。まず、発送・配達通知やアプリなどのコミュニケーションツールを確実に動かし、受取人が日時と置き配指示を事前に決められるようにする(再配達理由の約2割は「知らなかった」ことが原因だ)。次に、置き配・宅配ボックス・コンビニ受取・ロッカーといった対面以外の受け取りを、指示に沿って積極的に活用する。時間帯指定の荷物は、その枠を優先してルートを組む。そして置き配では、配達完了の写真と通知を必ず残し、盗難・紛失時の責任と補償の範囲(ヤマトのEAZYは責任限度額15万円など、いずれも2026-07-08時点)を理解しておく。置き配を標準の受け渡しに加える約款改正も検討が進んでいるので、確定した内容と施行時期は国土交通省や各社の発表で最新情報を確認してほしい。この積み重ねが、ムダな不在戻りと、あなた自身の余計な稼働を確実に減らしていく。
出典・参考
官公庁など一次情報を中心に確認しています(確認日を併記)。
- 令和7年10月の宅配便の再配達率は約8.3%(報道発表)(国土交通省)2026年7月8日 確認
- 令和7年4月の宅配便の再配達率は約8.4%(報道発表)(国土交通省)2026年7月8日 確認
- 令和6年10月の宅配便の再配達率は約10.2%(報道発表)(国土交通省)2026年7月8日 確認
- 宅配便の再配達削減に向けて(国土交通省)2026年7月8日 確認
- 宅配便の再配達率サンプル調査について(国土交通省)2026年7月8日 確認
- 宅配便再配達率は約8.4%:25年4月調査 政府目標達成は困難か(ニッポンドットコム)2026年7月8日 確認
- 国交省 標準宅配約款に「置き配」明記へ(カーゴニュース)2026年7月8日 確認
- 「置き配」が標準、手渡しは追加料金 国交省が宅配の新ルール検討(朝日新聞)2026年7月8日 確認
- 「置き配」を標準サービスに、国交省がルール改定へ 再配達削減狙う(日本経済新聞)2026年7月8日 確認
- 置き配(EAZYを含む)された荷物の紛失(盗難)や破損があった場合、補償されますか?(ヤマト運輸)2026年7月8日 確認
- 置き配のメリット・デメリットとは?宅配ボックスの必要性と盗難対策を解説(ALSOK(綜合警備保障))2026年7月8日 確認
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